人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

こころのひかり

心から心へと
うつりゆく光は、
たえまなく
ひとすじに
心の断面を伝い、
万象を数珠繋ぎにする。

ときに屈折があって
心が鬱屈しても、
よどんだ流れを尻目に
悪魔がぬっと顔を出しても、
心のおもむくところ
導きの光はつねに私とともにある。

その光を見失わないようにしよう、
それこそが、カンブリア爆発の昔から
万象を貫いて流れるものなのだから。

音楽

リズムは遍在する、
自然にも、生活にも、
心にも、体にも、
過去にも、未来にも、
およそ生あるところ
リズムなくんばあるべからず。

歌は遍在する、
空を飛ぶもの、
地を這うもの、
水に棲むもの、
およそ生あるものににして
歌うたわざるものあるべからず。

見よ、
大地の窪み、海の深淵、
磯辺の潮騒、深山の森林、
太陽と雲、月と星影、
いたるところに音楽は
満ちては溢れ、
零れては落ちる。
われらもろ手をあげ、
落ちきたる音を抱かんとする。

供犠

太陽神に生贄を捧げる男が丘に登ってきた。
寄る年波に喉をぜいぜい鳴らし
足元あやしくよろぼいながら、
見ればどこかに傷を負っているのか、
衣の下から血がしたたり落ちている。

丘には木がまばらに生え、
小さい泉がさらさらと地を潤していた。

杖をたよりにここまで来たが、
男はすでに疲れ果てていた。
男はこれまで屠ってきた何人もの若者を思った。
そして自分にはもう神へ供物を捧げる力がないと悟った。

男はそのまま聖壇の上につっぷした。
そこは、男が数々の供犠を行った場所であった。
もうこうなってはわが身を神に捧げるしかない。
神は男の行為を嘉されるであろうか。
男はそんなことをぼんやりと考えた、
照りつける日射しにぎらぎら光る血だまりを見つめながら。

蜂の巣

こちたき時を刻む漏刻、
その絶えだえの響きが
有漏の身に沁みとおる。
梵鐘のように、
谺のように、
妙(タエ)にしみらにつきまとう。

そのうねりは蜜蜂のうなりのごとく、
群をなしてあたりをおおい、
侵食を一面に繰り広げつつ
いつしかそれを蜂の巣に変えてしまう。

日が昇り、日が沈み、
量り知れぬ時を経て
すでに蜂の去った果樹園には
干からびた土色の蜂の巣が
吹く風に空しく首を揺するばかり。