生よ 驕るなかれ
われはミクロの幺微体
わが往くところ
つねに災殃(マガツビ)はびこれり
わが頼みとするところは衆にして
わが潜むところは万物の霊長なり
われは生の中の死
死の中の生
われかつて死なず
また生きず
取るにも足らぬ幺微体なれど
身は軽く けがれなし
われあえて物言わん
生よ 驕るなかれと
処世術
よきにつけ、あしきにつけ、
人はとどまることを知らぬ。
生とは流れである。
たとえ神であっても
それを押しとどめることはできない。
障碍に出会ったなら、
困難に陥ったなら、
それは神の警告と受け取るべし。
すみやかに流れを変えよう。
さもなくば行きつく先は破滅あるのみ。
呪詛を祝福に
暗黒を光明に
卑金属を貴金属に
転ずる術を心得ているものだけが
未来への参入を許されるのだ。
真昼の夜空
私は窓をあけて外を眺める。
空は真っ暗で、星が出ている。
しかし、これでも昼なのだ。
その証拠に太陽がみえる。
巨大な、眩しい光を放つ天体。
しかし青空はどこにもない。
朝焼けもなければ夕焼けもない。
どうしてこうなのか。
大気がなくなったからだ。
私を取り囲み、護ってくれていた
雰囲気が消え失せたからだ。
いまや私には青空はない。
あの懐かしい晴天の色はもう見えぬ。
しかし、これですべてが失われたわけではない。
私は急に嬉しくなってくる。
私の前には、宇宙そのものが無媒介的に広がっているのだから。