人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

Anywhere out of the world

この世の外なら どこへでも 今でなければ いつにでも 人でなければ 何にでも この日 この身を 釈き放て

あらわれ

まっかな唇に薄い布をあてがって 私をやさしいまなざしで見つめるこころ弱くも悲哀に溺れる私に 不意にあらわれた仄かなまぼろしみよ子さんと名前を呼べばすぐに会えそうな気がするのに あなたと私とのあいだには どうにもならない時空の隔たりが横たわって…

のらくら者のらくちん境

温かいもの 親しげなものを求めて こころの内部(オク)へ ひたすら内部(オク)へと もぐりこんでゆく ひとつの意志この乳白色の絶対境 ふうわりと柔かい砦に立てこもって 思うさま手足をのばし のんべんだらりとする心地よさのらくら者よ おまえの王国がそこにある…

羞明

明るさが私はこわい、 白さは私をおびやかす、 なぜならあの黒い星がよく見えるから。消えてはまた現れる あの気まぐれな星は、 流星か、恒星か、 はたまた小惑星か、 そもそも実在するものか、 それとも現象にすぎないのか、 吉祥か、凶兆か、 それはだれに…

生よ 驕るなかれ

われはミクロの幺微体 わが往くところ つねに災殃(マガツビ)はびこれりわが頼みとするところは衆にして わが潜むところは万物の霊長なりわれは生の中の死 死の中の生 われかつて死なず また生きず取るにも足らぬ幺微体なれど 身は軽く けがれなし われあえて物…

憂鬱

見はるかす落日の金色の光が 放射状に延び拡がり、舞い降りる。 そのまぶしい金粉に虹吐き 遠い昔のノスタルジアは 夕闇が濃くなりまさるにつれ 深々としたメランコリアを大地にもたらす。あゝ懐かしのメランコリアよ ひたひたと押し寄せる遠景よ おまえの黒…

処世術

よきにつけ、あしきにつけ、 人はとどまることを知らぬ。 生とは流れである。 たとえ神であっても それを押しとどめることはできない。障碍に出会ったなら、 困難に陥ったなら、 それは神の警告と受け取るべし。 すみやかに流れを変えよう。 さもなくば行き…

真昼の夜空

私は窓をあけて外を眺める。 空は真っ暗で、星が出ている。 しかし、これでも昼なのだ。 その証拠に太陽がみえる。 巨大な、眩しい光を放つ天体。 しかし青空はどこにもない。 朝焼けもなければ夕焼けもない。どうしてこうなのか。 大気がなくなったからだ。…

愚人に与う

翌日のおれが 前日のおまえに物申す。 おれがいま、どれほどいやな気持でいるか おまえはわかっているのか?おまえは一日を酒なしで暮した。 そのまま、酒なしで眠ることもできた。 しかし、なんたることだ、 寝る間際になって、おまえは酒を出し あてまで用…

こころのひかり

心から心へと うつりゆく光は、 たえまなく ひとすじに 心の断面を伝い、 万象を数珠繋ぎにする。ときに屈折があって 心が鬱屈しても、 よどんだ流れを尻目に 悪魔がぬっと顔を出しても、 心のおもむくところ 導きの光はつねに私とともにある。その光を見失…

音楽

リズムは遍在する、 自然にも、生活にも、 心にも、体にも、 過去にも、未来にも、 およそ生あるところ リズムなくんばあるべからず。歌は遍在する、 空を飛ぶもの、 地を這うもの、 水に棲むもの、 およそ生あるものににして 歌うたわざるものあるべからず…

あやしき香

おゝ也香よ也香 くゆりかに立ちのぼり 沁みては通る おおどかに 乙女さび ほのかに乳(チ)と血をまじえたる その妖艶なるたたずまい

供犠

太陽神に生贄を捧げる男が丘に登ってきた。 寄る年波に喉をぜいぜい鳴らし 足元あやしくよろぼいながら、 見ればどこかに傷を負っているのか、 衣の下から血がしたたり落ちている。丘には木がまばらに生え、 小さい泉がさらさらと地を潤していた。杖をたより…

蜂の巣

こちたき時を刻む漏刻、 その絶えだえの響きが 有漏の身に沁みとおる。 梵鐘のように、 谺のように、 妙(タエ)にしみらにつきまとう。そのうねりは蜜蜂のうなりのごとく、 群をなしてあたりをおおい、 侵食を一面に繰り広げつつ いつしかそれを蜂の巣に変えて…

はじめに

同一IDでの三つめのブログ。やはり象徴詩というものをちゃんと理解するためには、自分でも作ってみないといけないのではないか、と思って、それ用のブログを用意することにした。もちろん、象徴詩のよい読み手は、書き手と同じくらいに「創作」することは、…