人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

蜂の巣


こちたき時を刻む漏刻、
その絶えだえの響きが
有漏の身に沁みとおる。
梵鐘のように、
谺のように、
妙(タエ)にしみらにつきまとう。

そのうねりは蜜蜂のうなりのごとく、
群をなしてあたりをおおい、
侵食を一面に繰り広げつつ
いつしかそれを蜂の巣に変えてしまう。

日が昇り、日が沈み、
量り知れぬ時を経て
すでに蜂の去った果樹園には
干からびた土色の蜂の巣が
吹く風に空しく首を揺するばかり。