2020-01-15 蜂の巣 こちたき時を刻む漏刻、 その絶えだえの響きが 有漏の身に沁みとおる。 梵鐘のように、 谺のように、 妙(タエ)にしみらにつきまとう。そのうねりは蜜蜂のうなりのごとく、 群をなしてあたりをおおい、 侵食を一面に繰り広げつつ いつしかそれを蜂の巣に変えてしまう。日が昇り、日が沈み、 量り知れぬ時を経て すでに蜂の去った果樹園には 干からびた土色の蜂の巣が 吹く風に空しく首を揺するばかり。