2020-03-16 憂鬱 見はるかす落日の金色の光が 放射状に延び拡がり、舞い降りる。 そのまぶしい金粉に虹吐き 遠い昔のノスタルジアは 夕闇が濃くなりまさるにつれ 深々としたメランコリアを大地にもたらす。あゝ懐かしのメランコリアよ ひたひたと押し寄せる遠景よ おまえの黒く、冷たく、湿った手で 万象に薄墨色の屍衣をまとわせよ。私はといえば、せめて軽やかな沓で 死せる都を闊歩したい。 踏みしめる甃石の硬さを 蹠にしかと感じていたい。