人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

夕べの祈り


嘆き悲しむ暇もあらばこそ
彼方からの声は、つねにすでに
私を招き、私を立たせ、
どこまでも歩ませようとする。

それは雪山で男たちが聞くという
幻の歌声でもあろうか。
寒さと疲れとで萎え果てた身に
効験あらたかな希望の灯火(トモシビ)。

しかしなぜこうなのか、
こうも同じ光景なのか、
神代の昔から繰り返され、
この世の終りまで繰り返されるもの。

それこそは自然界の掟であり、
人間失墜の悲歌でもある。
獣の嗤(ワライ)、草木の咲(エマイ)、
小市民の痴愚と笑わば笑え。

ひとり枯座する部屋の内、
ほどなく点す蝋燭に
うつろう影のありやなしや──
宵闇はもう、ついそこまで来ている。