人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

踊る亡霊


セックスアピールの亡霊が
ありとしもない格好で
衆人環視の昼日中
街並をふらふらとさまよってる

女どもは眉をひそめ
怪訝な顔でじろりと睨み
男どもは目を伏せて
黙ってその場をやりすごす

世間の目などどこ吹く風と
亡霊さんは踊りだす
下手は下手でも味があり
思わず知らず引き込まれ

玄人はだしの急速調
手の舞い足の踏むところを知らず
ときおり婀娜な流し目をくれて
見るものの心を悩ませる

セックスアピールの亡霊は
ストッキングをぐいと上げ
言うをはばかるあの場所を
それとはなしに見せつける

彼女は女をいらだたせ
男を地べたに這いつくばらせ
子供を死ぬほど怖がらせ
老人には痴呆の羽風をおくる

彼女は今日もふらりと現れ
明日もどこかで踊りを踊る
衆人環視の昼日中
ありとしもない格好で