2021-05-03 黄昏 旅先で迎える暮方には つねに人の心をかき乱す何かがある。私は思い出す。 きみと二人で、いや、 われわれのグループで迎えたあの一泊移住の夕べ、 あのとき私は確かに人生の高潮にあった。 親しい仲間と、愛する友がいるとき 一日の終りはなんと美しいことか。「落日の消えゆく中に 遥かなる 横笛の調べひとふし 望ましや」こう歌われた黄昏どきの横笛のひとふしは 秋の日のヴィオロンよりも切なく いまなお私の心の耳に響いている。 註。括弧内はヴェルレーヌの引用