人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「幻の女」

朝靄にけぶる植物群のあいだを、
軽やかに、弾むように
逃げ去ってゆく女性に導かれて、
今朝私は、幸福な懶惰と静寂とに包まれてまどろむ、
年経りた、はるかなる楽園の奥へと連れ出された。
彼女はにっこり笑って
──蒼白い木の葉のあいだに朝がふるえていた──
私のほうに振り向いたが、
そのとき初めて
彼女のふしぎな顔を見た。
それは夢想がまさに死なんとする、定かならぬひとときであった。

もろもろの魂は悲しんでいた。
が、私はそんなことは少しも知らなかった。
楽園は無数の薔薇のうちに開かれていて、
そこには生命が不滅の夏とともにあった。

彼女の唇が、低く、まるで絶えいるかのように、こう呟いた。
いらっしゃい、かわいい人、だって私は死ななければならないのだから。
夜明けの光に淡く照らされた彼女の目は、穏やかに落ち着いていて、
半ば閉じられていた。
枯れた花のように、
彼女は手を開いて突き出すと、
寂しげな、優しい笑みを浮べてこう言った。
いらっしゃい、かわいい人、だってあなたは死ななければならないのだから。
というのも、私に触れるためには、死ななければならないのよ。
私は彼女をわが魂の上に抱きしめた。
そして彼女を燈火(トモシビ)のように自分の胸の上に載せた。

私の閉じた目の上に指を置いて、
彼女はやさしく言った、「ごらんなさい」と。
すると彼女の翼がざわざわいう音がきこえた。

それは夢想が息絶えんとする、定かならぬひとときであった。

大気は深々とした壮麗さに満ちていた。
光に浸され、
まるで炎が戯れるように、
長い髪の下に一糸まとわず、
彼女は次々に薔薇色、青、ブロンドと色を変え、
落ちかかる噴井の水が
たちまち沈黙に返るように、
朝の光の中に
姿を消した。
花粉や、光の塵や、
風に吹かれる水泡にも似て、
あとかたもなく、
彼女は私の唇に浮んだ歌の一節のように死んでしまった。

静かな孤独よ、広大な庭園よ、
そこには彼女がつかのま咲かせた花々がまだ残っている。
まやかしの愛に魅せられた楽園よ、
私が死のうとしてその入口に立った花園よ、
私はきみたちの楚々とした外観をかき乱そうとは思わない。
なぜならきみたちはおそらく見た目と同様に脆く、
夢のように壊れやすいのだから。
私の魂はきみたちのなかにあって満足を得る。
ここからきみたちを眺め、
心の底で微笑みかけるだけにしておこう、
きみたちまで失ってしまってはたまらないから。
彼女はきみたちのなかにいて、私は彼女のなかにいる。
私は翼のあいだ、薔薇のあいだで憩うとしよう。

心地よい朝のひとときに、
幸福を、笑いさざめく生活を
追い求めるのは幸せなことだ。
なぜなら、早く失望を味わった、あわれな心よ、
いまこのとき、影はみな短く、すべてが慰めとなるからだ。
歌声も、朝の光も、道端の花も、
空飛ぶ鳥も、
岸辺も、雲も、晴れ渡った空も、
昧爽も、
すべてがなおも生きることを励ましてくれるからだ。