人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「告知」

この波乱含みの夜、やがて訪れる遠い一日の凛とした青色の頂は、
すでに嚠喨たる喇叭の聖歌で黄金色に染められているが、
今宵、ある声に招き寄せられた人々、
夢想家として運命をたどる人々のあいだを、
闇に乗じて馬を駆る、
ひとりの女の騎り手がある、
それは戦いのためではなく、甘美なる勝利のため。

無言で、黒い甲冑に身をかため、
光る眼を兜で覆った女は、
沈思と静寂、すなわち祈り。
明暗二様の旗が、青いキマイラを織りなした絹の襞ともども、
女の上にふわりとかかり、
星空のように女を包みこんで、
その長い光芒を覆いの影に混ぜ合わせる。

かく重々しく女は額を俯けて進む。
人々はだれも自分たちの探し求めているのが彼女だとは気づかない。
もう何日も前から、幾多の街道や宿場を抜けて、
彼女への崇高なる期待と信仰とがかれらを鼓舞してきたというのに。
みなが無言のうちに待っている女は、いずくんぞ知らん、そのただなかにいるのだ。
女は火の音とともに静かに行く、
そして微笑む。その身を隠す薄暗がりのなかで、
女の口がささやいて夜明けをふるわせる。
未来のすべてが彼女の暗い胸のうちにおののき、
彼女の声はふるえながら告白を口にのぼす。

風が吹いてキマイラの旗が
栄光の襞のうちにひらめくと、
半透明の壮麗なる紋様は波となって、
夏の朝の潮騒にどよもされた鈍い大気にあふれ出し、
みなの心に、息吹や歌、波、光や炎など、
無限の清澄な鼓動をもたらす。
いまや女は顔をあらわにし、目を上げる。
彼女は夜明けであり、喜びであり、神々の娘であり、栄光なのだ。
不死なる者を乗せた馬は、血気にはやって体をふるわせ、
もはやその身に感ずるものは双の翼のみ。