人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「気軽な心」

さながら麦畑を横切ってゆく子供のように無邪気な心で
単純なものごとに微笑みかけるという、この幸せが、
ふたたび閉ざされたわれらの魂のなかで、
どうか末長く続きますように。

刈られた麦の穂が風にそよぎ、
黄金色の大きな麦は彼女よりも丈がある。
麦は前に開き後ろに閉ざし、
小径ははや始まりもなければ終りもない。

けれども彼女は先のことなど頓着せず、
こともなげに歩いてゆく。
旅路の果ての薄暗がりに、
彼女の歩みを待ち設ける戸口があるのを知っているから。

おそらく道はまだまだ遠い、
けれどもそれが常の道、人生なのだ。
そんなわけで彼女は道のことは忘れ果て、
自分の歌を思い出す。