人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

妄誕

男の背中は広いもの、 そう思いこんでいた子供のころの私。 それだから男の背後に回りこんでみたことはなかった。 広いにきまっている男の背中なんかに興味はなかった。ところで私の愛した男たちは みんなガリガリに痩せていた。 その痩せ男たちの背中も広い…

エンテレケイア I

泥に生れた草木は 花を咲かせることもなく 生い立ったそのままの姿で 活動を永遠に停止したそれは枯死ではない 生成の極みにおいて 存在を無と化し 形相のみをこの世にとどめたといおうか泥から生い出た草木は 暗い出自を忘じ果て とわに円現の相をたたえつつ…

鳥の声

血を吐いて死んだ凶鳥は 生きているときもつねに血を吐いていた 耳をすませば ゲエッ ゲエッという 音さえもきこえたはずなのだ ゲエッ ゲエッときたない声でなきながら とめどもなく血を吐くまがつどり そのこえに しらずしらず おれの心はとうから破れてい…