人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ネルヴァル頌

海の彼方に咲くという トレミエールの薔薇を見たのは ボン・ジェラールただ一人イスパハンの薔薇が薔薇でないのと同様 トレミエールの薔薇も薔薇ではない 薔薇でないものを薔薇と呼ぶ そこにジェラールの偉さがあるんじゃないか万巻の書を読破しながら 一冊…

ひとりごと

さもあらむ さもあらむとわれ つぶやきつつ またたぐりてみむ きしかたのあやまちを ゆくすゑのこころぼそさを さもあらむ さもあらむとのみ ひとりごちつつ

神は盲点に宿りたもう

記憶喪失 いまに始まったことじゃない 子供のころにもあったことだ 最初に乳を飲んだときのこと 最初に立って歩いたときのこと 最初に親と話をしたときのこと すべて忘れているじゃないか いちばん記念すべきことを ことごとく忘れているじゃないかそれでい…

淫佚なる庭園

私は淫らの園の庭師である。そこでは蛇の愛撫がねっとりと絡みあい、 木苺の実の欲望がこぼれ落ちる。 池に浮ぶ蓮華の花は 女神の裸身と妍を競うかのよう。節くれだった根茎が地を匐い、 茸は得たりや応と胞子を放つ。 蘭(ラニ)の香は月に流し目を送り、 韮(ニラ…