人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴァン・レルベルグ「待つこと」

敬虔な天使たちに導かれてやってきた、 目に見えない曙光の世界から、 私の目を覚ましにくるのはだれ? もう日がのぼる。私はまだ夢をみている。薔薇の苑の上を吹く、 やさしい風の魅惑が、 海の底の夜明けのように 私の青い瞳にみちわたる。定かならぬ時、…

ヴァン・レルベルグ「プシュケー」

きみの火のような目を見開いてごらん。 だが、静かに、アモルが眠っている。 さ、立っておいで、プシュケー、わが魂よ、 きみの黄金のランプを手に取りたまえ。よく見るがいい、アモルが目をさますところだ。 ごらん、きみのまなざしがもたらした 光と驚きの…

シャルル・ヴァン・レルベルグ『アントルヴィジオン』序詩

さて君に何を語ろうか、 未知の涯からこの孤独の国へやってきて、 草葉の茂った宵闇に、静かな憩いを求める君よ、 いまこの時、君のために、 しとやかな君の妹たちが 歌を歌いながらすっくと立ち上がる。 親愛なる魂よ、 闇の奥からシバの女王のように現れて…

創作詩から翻訳詩へ

これまでは自作の詩をアップしてきたが、このへんで方向性を変えて、しばらく訳詩をアップしていこうと思う。とりあえずは、象徴派の詩人シャルル・ヴァン・レルベルグの『アントルヴィジオン(仄かなる幻)』を冒頭から順に訳していこう。訳すといっても、…

魑魅魍魎の歌

魑よ、魅よ、魍よ、魎よ、 どんなに珍奇な植物よりも、 どんなに綺麗な動物よりも、 おまえたちのほうが私は好きだ。 あるとしもないあやかしよ、 ひとのえ知らぬおよずれよ。魑、火の娘、樹から生まれたドリアッド、 髪をなびかせ山野を跋渉し、 火に棲む蜥…