人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴァン・レルベルグ「知らぬ間に」

──そなたの薔薇は美しい、 とほほえみながら主は言われた、 余はその花々を愛する、しかもそなたは 遊びながらそれらを摘み取った。しかし愛しきものよ、いったいどうしたわけで そなたの白い手は血を流しているのか。 ──存じませぬ、と天使は驚いて言った。…

ヴァン・レルベルグ「鏡」

私は影のなかの像、 漠然と眩惑された場所、 深い闇のさなかにあって 四方に光を投げかける明り。 それゆえにわが魂は、 エレボスの河や 夜の泉のように暗く、 それゆえに私は 青い空やまばゆい光、 過ぎゆくもの、変りゆくものすべてを映し、 それゆえに地…

ヴァン・レルベルグ「妖術」

我々のうちだれ一人として気にもかけないが、 ある種の女たちがいて、 そのふしぎな歌声がいとも簡単に、無造作にといいたいほど、 まるで遊んでいるかのように、 黄昏のなかで、我々のまわりに、 魔法の薄絹のようなものを織る。 青白い、薔薇色の夢の織り…

ヴァン・レルベルグ「眠りの伴侶」

薔薇色の暗い美と、 明るい良心と、愛とともに、 蔭になった小さい部屋で、 昼日中、女は眠っている。「美」は翼の蔭で夢みている、 それは奇妙な妹のよう。 彼女はこわれやすものでできていて、 手には一輪の花をもっている。その伴侶の「良心」は、 ふっく…

ヴァン・レルベルグ「とば口にて」

彼の魂の夢がついに実現する、 それは讃えるべき、突然の驚きだ。 彼は魅了され、ふるえながら、気もそぞろに立ち尽す。 混沌とした夜明けはすっかり薔薇の樹で満たされている。 驚くべき、青くかすんだ世界が、 光と影との半透明の霧から現れる。 淡い色の…