人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴァン・レルベルグ「夕べの祈り」

鐘の歌がわたしを揺するこの棲みかに、 よき天使よ、このたそがれどき、 目に見えぬどんな訪いがあるか、 だれが知ろう。暗がりで、だれがわたしを愛するか、自分にわかるだろうか。 見て、影の翼が長くなってきた。 この夕べの罠に気をつけて。 神々しい天…

ヴァン・レルベルグ「散華」

ここ、不滅の地、 外から風の吹き込まぬ寂しい場所に、 かつて花々だったものが みごとな、精妙な塵となって 眠っている。花冠を脱落してしおれた 薔薇や枯れた百合の、 緋色の、けだるい、この秋の日、 草と野の花とのあわい、 この深々とした、 苔よりも柔…

ヴァン・レルベルグ「泉にて」

若返りの泉に わたしは小さい盃を沈めた。 わたしの悩みは、みんな逃げて行った。 ごらん、あの素っ頓狂な連中を、 かれらは群をなして狂ったように飛んで行く。若返りの泉のなかで 痛みはすべて忘れられた。 その水に、わたしは忘却を飲んだ、 わたしの魂は…

ヴァン・レルベルグ「施し」

きれいなシレーヌさん、 おやまあ、あなたの女王のような指に 水の指輪とは。 金の指輪はどうなさったの。あれは深みに投げ込んだの、 私の心といっしょにね。 私の妹のニックスに…… だって私の棲むのは上の方だから。あの子は器量がよい、わたしは気立てが…

ヴァン・レルベルグ「異邦人」

わたしから遠いところに何を求めるの。 ああ、わたしはあなたにとってすべてではないの。 あなたのために、わたしの唇は花と開いているのに。おまえの唇に私は薔薇の匂いを嗅いだ。わたしの胸で、なにもかも忘れて夢みなさい、 あなたのために崩して解いた …