人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

黄昏

旅先で迎える暮方には
つねに人の心をかき乱す何かがある。

私は思い出す。
きみと二人で、いや、
われわれのグループで迎えたあの一泊移住の夕べ、
あのとき私は確かに人生の高潮にあった。
親しい仲間と、愛する友がいるとき
一日の終りはなんと美しいことか。

「落日の消えゆく中に 遥かなる
横笛の調べひとふし 望ましや」

こう歌われた黄昏どきの横笛のひとふしは
秋の日のヴィオロンよりも切なく
いまなお私の心の耳に響いている。


註。括弧内はヴェルレーヌの引用

踊る亡霊

セックスアピールの亡霊が
ありとしもない格好で
衆人環視の昼日中
街並をふらふらとさまよってる

女どもは眉をひそめ
怪訝な顔でじろりと睨み
男どもは目を伏せて
黙ってその場をやりすごす

世間の目などどこ吹く風と
亡霊さんは踊りだす
下手は下手でも味があり
思わず知らず引き込まれ

玄人はだしの急速調
手の舞い足の踏むところを知らず
ときおり婀娜な流し目をくれて
見るものの心を悩ませる

セックスアピールの亡霊は
ストッキングをぐいと上げ
言うをはばかるあの場所を
それとはなしに見せつける

彼女は女をいらだたせ
男を地べたに這いつくばらせ
子供を死ぬほど怖がらせ
老人には痴呆の羽風をおくる

彼女は今日もふらりと現れ
明日もどこかで踊りを踊る
衆人環視の昼日中
ありとしもない格好で

肉と女体

女に三種あり、
鶏と、豚と、牛と。

羽をむしった鶏のような女がいる。
脂ののった豚のような女がいる。
固太りの牛のような女がいる。

うわべはどうなと飾っていても、
身ぐるみ剥いでとくと御覧じろ。

肉の見地から眺めたとき
女には三種しかない、
鶏か、豚か、牛か。

──さて君は何がお好みかな?
──冗談じゃない、僕はベジタリアンだよ。

サウダージ

ほのじろくおぼめくものに心をよせつつ
乙女らは日暮れの小径をいそぐ。

ひよわの少年は手にもった光の花を力として
乙女らと肩を並べてどこまでも歩いて行こうと心に誓う。

しかるに何の痛棒ぞ、その場で少年をひたと撃つものあり、
うずくまる少年をよそに、乙女らは足早に遠ざかってゆく。

彼方、ほのじろくおぼめくものに心をよせつつ
乙女らの歩みははや別乾坤へと消えていった。

少年時代よ、久遠の思い出よ、さらば、
私は私の道をゆく。