人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴァン・レルベルグ「不意の訪れ」

朝まだき、このニンフの祠につどうもの、 ひとり、またひとり。 そして妖精たちがやってきたが、 なかでも美しいのがこちらの娘。世界を経めぐり、 数千の齢を閲しながら、 なおもブロンドの巻き毛の少女であり、 子供の中の子供である娘。さびしい海の拡が…

ヴァン・レルベルグ「曙光」

魔法の森は その木の葉の翼をすっかりたたんだ。 浄められた夜の 厳かな静けさが この森にひっそりと憩い、まどろんでいる。くらがりのなか、 最後の枝が目に見えない水の上に 枝を延ばすあたりに、 ふしぎな地上の主である 黒い服を着た少年が、 光の花を手…

ヴァン・レルベルグ「黄金舟」

東邦の小舟(ヲブネ)に乗りて 三人のわかきをとめは帰り来ぬ。 東邦の三人のをとめは、 黄金(ワウゴン)の小舟にのりて帰り来ぬ。黒なる一人 舵をとれり。 薔薇のにほへる唇に、 奇しき物語をつたへぬ、 語(コトバ)はなくて。褐色(トビイロ)の一人 帆を持てり。 その足に…

ヴァン・レルベルグ「復帰」

白鳥の群が雪景色を横切ってゆく、 白鳥か、はたまた天使か。 すべては天鵞絨に包まれたように静かで、 すべてはただ白い。 きみは波打つブロンドの髪を 雪のなかにふりほどいて、 銀色の鐘の音が甘く響くなかをひた走れ。雪が降っている、気のよい羊飼いが …