人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「黄金舟」

東邦の小舟(ヲブネ)に乗りて
三人のわかきをとめは帰り来ぬ。
東邦の三人のをとめは、
黄金(ワウゴン)の小舟にのりて帰り来ぬ。

黒なる一人
舵をとれり。
薔薇のにほへる唇に、
奇しき物語をつたへぬ、
語(コトバ)はなくて。

褐色(トビイロ)の一人
帆を持てり。
その足につばさをそなへ、
かれは天人の手振を伝へぬ、
身動きはせで。

また金髪の一人あり、
船首(ヘサキ)に眠れり。
波のうへ丈なす髪の垂れたるは
あけがたの空にも似たりや。
眼瞼(マブタ)のしたにかれは持て来ぬ、
光明を。

厨川白村訳)