ひとりごと
さもあらむ
さもあらむとわれ
つぶやきつつ
またたぐりてみむ
きしかたのあやまちを
ゆくすゑのこころぼそさを
さもあらむ
さもあらむとのみ
ひとりごちつつ
神は盲点に宿りたもう
記憶喪失
いまに始まったことじゃない
子供のころにもあったことだ
最初に乳を飲んだときのこと
最初に立って歩いたときのこと
最初に親と話をしたときのこと
すべて忘れているじゃないか
いちばん記念すべきことを
ことごとく忘れているじゃないか
それでいい
なぜならいちばん大切なことは万人共通だから
それはことさら見なくてもいいのだから
そして
もし神がいるとしたらそこだ
その見えないところだ
そしてその神もまた盲目であろう