2020-05-10 あらわれ まっかな唇に薄い布をあてがって 私をやさしいまなざしで見つめるこころ弱くも悲哀に溺れる私に 不意にあらわれた仄かなまぼろしみよ子さんと名前を呼べばすぐに会えそうな気がするのに あなたと私とのあいだには どうにもならない時空の隔たりが横たわっているさやさやと鳴るすずしのような 銀色をしたあなたの声を いましみじみと思い出す