ヴァン・レルベルグ「絵姿」
ある日のこと、少年の美しい本に描かれた、
きらびやかな衣装をまとった挿絵たちが、
金剛石の宮殿に棲む妖精のように
本から抜け出てきた。
そのうちの一枚が、
眠りこけている少年の肩をたたいた。
それは、麦穂のように背が高い、
金髪の、言葉なき絵姿だった。
ああ、もううんざりだわ、と
その絵はだしぬけに少年に言った、
私たちを圧しつぶすような、こんな重い考えを頭に戴いているなんて。
私たちは広々としたところで息をつきにきたの。
するとすべての絵が、
任務のために重く締めつけられていた
乙女らしい額をさっとあげて、
滅びざる姿で立ち現れた。
少年は驚きかつ喜び、
顔を輝かせてかれらに微笑んだ、
かれの好きなのは、
これらの絵だけだったから。