ヴァン・レルベルグ「ニンフの洞にて」
たとえ目には見えなくとも、
心にて知るがよい、かれはそこにいる、
かつてのままに、ほのじろく神々しく。
その岸辺にかれの手は憩う。
その頭はジャスミンの繁みに、
足は木々の枝をかるく揺する。
木の間隠れにかれは眠っている。
唇と目とをかたく閉じ、
口は息をしているとも見えない。
ときに稲妻の起る夜、
かれは目を開いて姿を見せる、
閃光がその目にきらりと映る。
目も眩むような青い光がさっと差して、
髪を長く垂らしたかれの姿を暴く、
かれは目を覚まし、起ち上がる。
そしてすばやい夢の光芒の一閃のうちに、
目眩めく庭の全体が、
夜のすみずみまで明るく照らし出される。