人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「まどかなるもの」

オパールの仄明りのもと、
物陰の眠気をさそうような暖かさ、
息も絶えだえの花々の発する温気、
朧ろに霞むものの現れ。
息づかいも話し声もきこえない、
しんとした belle-au-bois の部屋。
漠たる夢想の雰囲気のうちに、
ものの形を空気が歪め、引き延ばしてゆく、
あたかも響きのよい竪琴の音のように。

窓は、その向うにある
思慮深く甘美なるものの姿を穏やかに示しつつ、
八月の午後の
青々とした熱い芝生へと
静かに開け放たれている。

そこに、火で王冠型に結い上げた金髪が
ほどかれて束になったまま、
一糸まとわず、指を宙にさまよわせて
──刈り取られた収穫の
上に置かれた半月鎌──
一人の女が横たわっている。
乳房は幼く、
まつ毛越しにあたりを見ている。
孤独に輝く彼女の目は
大地を映し出す。
その湿った口には
真っ赤な花が浸され、
顳顬には小さい羽根が
羽ばたいている。

見たところ、時間と生命とが、
お揃いの大いなる影と、
静かな光と、
果物や花々やブロンドの麦を
いっぱい詰めたふしぎな籠とを携えて、
この家を領している。
この時は永遠に続くかのようだ。

また、すべてのものが、
その鈍った心とけだるいまなざしとで、
目には見えないがこの静けさに溶け込んでいる
何者かの奇妙な到来もしくは現前を
告げているように思われる、
口には口を、歩みには歩みをもって。

そこにあるのは夢想、
なかば閉じた瞼の下で、時間がけだるく流れる。
そこに、遠くの鏡に映るように、
燃え上る命が記憶に刻まれ、
その法悦が庭に息づく。
また、事物の遠い慄きから、
岸辺の静けさへと、
小さい波が寄せては消えてゆく。
そして、幸福の花々に囲まれたアーチ屋根の下を、
青空と水とを孕んだまどかなるものが、
光を放ちつつ通ってゆく。

来たっては過ぎゆくものが、
そのふるえる grâce のうちに姿を映す、
それは外にある歓びとここにある歓びとだ。
無垢な魂はこうしてやってくる、
壊れやすいガラスのように。
空のすべて、地上のすべては、
夏の一日の夢のなかにある。
若干の神々しいものは、吐息のごとく、
日と混じりあったまなざしのなかに。
言葉がそのなかに含むもの、
愛を告げるために必要なもの。
私の歓びと君の美しさとの、
漠として軽やかな象徴。
それは私の魂と君の魂との幾分かだ、
薔薇を身にまとい、
これら影と炎とのあいだを通っていった、
神のような子供よ。