人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「その口の接吻をもて我にくちつけせんことを」

彼女は帯の結び目を解いて、素裸になると、
ふるえながら腕をひろげ、やってきた者を迎え入れた。

その手は大気に触れ、静寂に触れ、夜に触れた。
そして、彼女のくらんだ目に陽の光がきらめいた。

彼女の神のごとき接吻はおずおずとふるえ、
それはあたかも口で摘んだ一輪の花さながらであった。

ヴァン・レルベルグ「わが首(こうべ)には露満ち」

雪の降るなか、火を灯して、
楽園の星の遊びをした。
私の体は星ですっかり覆われる。
明るい髪の毛の上で光るものもある。
目の中に飛び込んでくるのもある。
唇や胸の上で
溶けてしまうのもある。
手のひらの中で
消えてしまうのもある。
私の全身は星できらめき、
口は火の味でいっぱいになる。

ヴァン・レルベルグ「尋ねたれども得ず」

おのれの心の中に眠るがごとく
安らかに彼女は眠っている、
あたりはしんと静まり返っている。
彼女がいま見ている夢を窺い知るわけにはいかないけれども、
それは愛神アモルが遣わしただれかの夢で、
彼女に近づき、指で彼女の目に触れて、彼女をうつつに呼び戻す。

彼女は跳びあがって目を覚まし、
茫然自失のていで、
流れるような明色の髪を白い手でかきあげる、
まるで花が大気を押し上げるかのように。
そしてこう呟く、あれはただの夢だ、
しかし私の見たもの、聞いたものは何だろう?
天使が天翔けったとでもいうのだろうか。

いやそうではない、何ひとつ動きはしない。
けれども、薔薇の影は赤く染まり、
ひとひらの葉が静寂のなかに落ちていった。
曙の光は私の目をくまなく照らした。

私の吐呑する空気は、
私の命と混ざり合って、
生き生きと光り輝く。

扉の下から滑り込んでくる神秘的な今日という日は
薔薇の花でいっぱいだ、それはだれかが私のところへ持ってきて、
戸口でその花を摘み取るのだ。

ヴァン・レルベルグ「愛の起るときまでは喚び起すなかれ」

この子が目を覚ましたとき、どんな歌を歌ってあげたらいいだろう?
ごらんなさい、目をとじて
微笑みながら夢みている様子を。
この子の考えに、どんな声で接してあげたらいいのか?

この子を取り巻いているものを、
どんな愛の名前で呼んだらいいのか?
この日、私たちの小さい妹を、
どんな愛の名前で祝福してあげればいいのか?

いや、何もいわないほうがいいだろう、
それよりこの子が頭に描いている思いのとおりに、
彼女のまわりに輪になって、
めいめい百合の花を手にもち、じっと座っていることにしよう。

ヴァン・レルベルグ「われは睡りたれどもわが心は醒めゐたり」

私の胸の上で私の手が眠っている、
遊びと錘竿に疲れた私の白い手、
懐かしい恋人のような私の手は、
まるで水の底でまどろんでいるかのよう。

つらい、やくたいもない苦役から遠く離れて、
この私の美の玉座に、
楚々たる女王然と居座って、
私の手は王国の夢を見ている。

こうして一人で、ブロンドの髪を頭に巻いて
目を閉じていると、私はやはりかつてと同じく、
世界を掌に収めた子供であり、
百合の花を手にもつ乙女なのだ。