人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「我はわが愛する者につき わが愛する者はわれにつく」

あなたの目が私の目を覗き込むと、
私のすべては目のなかにある。

あなたの唇が私の唇をほころばせると、
私の愛は私の唇そのものだ。

あなたが私の髪をなでると、
私はすっかり髪のなかにいる。

あなたが私の胸元にふれると、
私は突然の炎のように萌え立つ。

あなたが選んだのはこの私ではなくって?
そこに私の魂がある、私の命がある。

ヴァン・レルベルグ「葡萄や芽(めざ)しし」

木苺の実のなる季節に人々は歌った、
私のたわんだ唇を、
夏の雨のように暖かい
私の長い髪を。

葡萄の実のなる季節に人々は歌った、
私の半ば閉じた光る目を、
秋の空のように
物憂く曇った私の目を。

私には味わいのすべて、輝きのすべてがある。
私は蔓植物のようにしなやかだ。
私の胸元には炎や花のような
優美な曲線がある。

ヴァン・レルベルグ「没薬の汁わが指よりながれて」

私のおののきにあなたの手を延ばして下さい。
それは私のモヘアの衣装、
それは没薬の、香油の、
安息香の衣装。
私の全身はこれで塗られ、
私の腰はこれにて撓んだ。

さらに私を覆うものといえば
金色の毛髪だ。
それは太陽、私はその光のなかにやって来た、
それは太陽、私はその光のなかで素裸だった。

ヴァン・レルベルグ「印(おしで)のごとく」

あなたの心の上にこの身を委ねよう、
海の上の春のように。
不毛な海の平原では、
急速な風のせいで、
光の花以外の花は
育たないのだ。

あなたの心の上にこの身を委ねよう、
海の上の鳥のように。
波と空間との永遠のたゆたいのなかで、
鳥はその疲れた翅を
休めるのだ。

ヴァン・レルベルグ「面を覆へる者の如くして」

なぜおまえは古ぼけた夢想ともども
過去から立ち現れるのか?
私がまだ存在しない前におまえが夢みたことが、
いったい私に何の関わりがあるというのか?

死んだ者たちの灰をかき起してはいけない。

私の若かったころの歳月、
それはいまの私の思考には、
自分の髪の甘やかな重みや、
愛がそれに結わえつけた花々ほどの重みすらないのだ。