ヴァン・レルベルグ「首途」
青々とした野原に、
近くの森の静けさが徐々に拡がってくる。
乙女らはひどく疲れた様子で、
白い着物を後ろに垂らして、
夢想と神秘との言葉を
声低く歌いながら横切ってゆく。
黄金の液体のような、爽やかな陽光が、
雲間を洩れて
音のない流れのように下ってくる間を、
彼女らはゆっくりと進んでゆく。
やがて薄紫色の黄昏が
着物を柔らかな色に染めだすころ、
青ざめた花々のあわいに
一歩また一歩と
足を踏みしめながら、
天上の姉妹たちは魂をひとつにして、
知らずしらずのうちに影のなかに這入ってゆく、
その影はまた彼女らの心の上にも落ちてくる。
けれども彼女らの魂は平安を失わず、
黒くみえる唇も笑いを忘れはしなかった。
おそらく彼女らはつねに昼間へと向かう
遠い声に鼓舞されて歌を歌っているのだ。
たとえ空がその炎熱を失っても、
彼女らの目から輝きが消えることはない。
彼女らはいつも前を見ている。
遠くの芝生の彼方には、
新しい光明が安らかに灯っている。
彼女らはめいめい静かに歩いてゆく。
影が翼のように過ぎ去れば、
彼女らは久遠の存在となる。