人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「選ばれた者」

神々の幻影の路を
その男は歩いて行く、
もしすべてが幻影であるとすればだが。
その男が夢みるのは極上の夢、
人を信じ己を信じ、
おのが熱狂に一心に入れ揚げ、
虚しき事物よりもさらに虚しく、
あたかも存在しない人間であるかのように、
足下の影でもって
不確かな地面を掠めてゆく。

きみの欲しいものを言いたまえ、
と神々が笑いながら言う。
しかし神々のうちに憩うものにとって
生活上の要求などあるはずがない。
彼は驚く、いったい何の欲望か、と。
彼がおのれの望むところを知っているだろうか。
神々の贈り物の最上のものでさえ、
彼の気楽さほどの価値があるだろうか。
彼にはこの世で恐るべきものなど何一つない、
彼は子供のように単純だ、
彼はおのれを知らず、
それゆえに意図せずして
全能の力を
その小さい手に収めているのだ。