人もすなる象徴詩といふものを

われもしてみむとてするなり

ヴァン・レルベルグ「夜景」

落ちかかる夕暮れどき、
はるか東の深みから、
穏やかに、ひそやかに、
ほの暗い思考にうち笑みつつ、
神のような「夏の夜」が
歩一歩とやってくる、
光のなかに拡がってゆく影法師を従えて。
すらりとした影法師たちが
爪を閉じて佇むところに夜が歩みを留めると、
かれらは一団となって、
月明りのふるえる公園のなかに、
火と燃えるその衣の裾を舐めながら、
優美な女王のあとを追う。
そして女王のもと、
キマイラのように匐い進んでは、
鉛色の白日が消えゆくなかに、
異形の翼を閉じたり開いたりする。
「夜」は手綱を使うように
長い金色の髪をなびかせ、
この闇の一群を
彼方の海の源へと引き具してゆく、
そこは神の死の血潮が
水中で薔薇の花ともつれ合ったところだ。